誤解
今まで解説してきた下部尿路症は、基本的考え方は恐らくこうでしょう。①前立腺肥大症は、前立腺肥大症が膀胱を刺激して、頻尿・残尿感・尿意切迫感が出現する。前立腺の手術をしても治らない人がいる。②急性膀胱炎は、バイ菌が刺激して、膀胱粘膜が過敏に反応して、頻尿・残尿感が出る。若いご婦人のこの病気はセックスの後に起こる。しかし、高齢者の場合は原因不明である。③慢性前立腺炎は、前立腺の炎症が膀胱を刺激して、頻尿...
View Article尿意の秘密
膀胱や前立腺の数々の病気を調べ研究して治療するに当たって、基本的な概念を明らかにする必要があります。その対象が「尿意」です。泌尿器科学会で名だたる先生たちが唱える、尿意のメカニズムは次のようです。まずは、膀胱の基本的構造をイラストで示しました。膀胱粘膜があり、その下に粘膜下組織、平滑筋層、神経組織のC線維があります。①オシッコがたまり膀胱が膨らむと、当然、膀胱粘膜が引き伸ばされます。②すると、膀胱粘...
View Article新たなβ3作動薬
近々、新たなβ3作動薬が販売されることになりました。キッセイ薬品と杏林製薬の併売です。これまでは、アステラス製薬のβ3作動薬のベタニスしかありませんでした。ベタニスも画期的なクスリでしたが、全ての人に均一に効果があるとは限りませんでした。治療する側の医師としては、下部尿路症の患者さんにいろいろなお薬で治療しますが、その人に合う薬を見つけるのが大変です。少しでも選択肢が増えると、医師も助かるし、患者さ...
View Article排尿障害が原因のいろいろな病気
医師になって約40年(正確には39年)、それまで蓄積した臨床体験から、一見、排尿障害と無関係に思える病気の原因が、排尿障害と密接に関係している事が分かりました。原因を分かりにくくしているのが、膀胱や前立腺を神経支配している、脊髄神経回路だったのです。脊髄神経回路は、人によってさまさまな症状を作ります。医師は、その神経回路の様子を想像出来ませんから、たくさんの原因不明の病気を創るのです。その発想の貧弱...
View Article慢性前立腺炎すなわち、自覚しない「排尿障害」
慢性前立腺炎と診断され、なかなか治らない患者さんが、無料相談の電話やブログのコメント相談や実際に来院される患者さんがたくさんおられます。その患者さんたちの症状は、陰部の痛み・不快感・カユミ・シビレ・頻尿・尿意切迫感・尿道分泌液の過剰・肛門の痛み・カユミなどさまざまです。人によっては、胃の痛み、首の痛み、手足の痛み・シビレ・震えなどさまざまです。……症状だけで判断すると、自律神経失調症?ストレス?うつ...
View Article原因不明の慢性胃痛症の正体
平成18年5月に来院した47歳の男性患者さんです。平成11年頃から会陰部痛と左睾丸痛・腰痛があり、慢性前立腺炎の診断で、長らくセルニルトンを服用しながら経過を見ていた方です。18年の4月頃から、痛みが次第に強くなり改善しないために、その年の5月に高橋クリニックを初めて受診しました。尿流量測定ウロフロメトリー検査では、ご覧のように、スパイク状の排尿曲線を示し、腹圧性の排尿曲線です。2D画像では、前立腺...
View Articleべオーバの発売日決定
お待たせいたしました。第2のβ3作動薬であるベオーバの発売日が決定しました。今月の11月27日火曜日です。当日の10時以降には処方できると思います。ただし、一回の処方で2週間分です。
View Article慢性前立腺炎の治療を中断してはダメ
このブログの中で何べんも解説しているように、病気の症状は病変部が直接作っているのではありません。 症状を作成しているのは、病変部を神経支配している脊髄神経回路なのです。 薬物治療や手術治療によって、病変部から湧き出る情報を抑えることが出来ても、脊髄神経回路は何の変化もなくそのままです。ここが一番気をつけなければならない点です。...
View Article休診のお知らせ
【休診日】 4月・5月のゴールデンウィークは、 4月30日(火)、5月1日(水)、5月2日(木)は午前中のみ診療します。 【診療時間】 月曜日〜土曜日: 午前中9時~12時診療を行います。ただし、火曜日・木曜日のみ、午後4時〜午後6時も診療を行います。
View Article痛みで苦しむ徳島の患者さん
私の著書を読み、徳島県から男性患者さんが娘さんと二人で来院されました。陰部と会陰部の強い痛みと肛門の痛みで苦しんでいた患者さんです。 平成30年11月に血尿認められ、地元の内科医で膀胱炎と診断され抗生剤を処方されました。その後、陰部・会陰部の痛みが出てきて、次第に強くなり、12月には救急車で搬送されました。救急病院で精密検査を行いましたが、「異常なし」でした。...
View Article原因不明の痛み症候群の原因
泌尿器科の病気で、原因不明のために、患者さんが苦しむ病気がいくつもあります。痛み症候群(私の造語)として解説致します。 [E:#x2776]膀胱疼痛症 [E:#x2777]前立腺痛症 [E:#x2778]うっ血性慢性骨盤疼痛症候群 [E:#x2779]陰部疼痛症 [E:#x277A]間質性膀胱炎 [E:#x277B]慢性前立腺炎...
View Article膀胱三角部から見た二足歩行と四足歩行
膀胱のセンサー部分である膀胱三角部は、イラストのように膀胱出口の真裏(お尻側)にあります。膀胱は内臓の中で一番下に位置していますから、イスに座る時や立って歩行している際には、内臓全ての重さを受けることになります。そして、圧力のかかっている膀胱の一番圧力がかかるのはイラストで分かるように膀胱三角部です。...
View Article排尿機能障害の証拠
排尿機能障害が原因で、見せかけ上の様々な病気が発症します。前立腺肥大症、慢性前立腺炎、慢性尿道炎、慢性膀胱炎、過活動膀胱、間質性膀胱炎、膀胱疼痛症、慢性骨盤疼痛症候群などです。...
View Article追っかけ漏れ
テレビのCMなどで、男性がトイレから出て来た直後にズボンにオシッコのシミが付くことがあります。「尿漏れ」、「追っかけ漏れ」と呼ばれています。尿漏れパッドの購入をススメていますね。...
View Articleインポテンツと排尿障害
中高年の男性が、インポテンツ・EDでお越しになることがあります。一般的には、老化現象と思われていますが、なかにはそうでない方もおられます。 勃起は海綿体静脈と陰茎動脈と交感神経・副交感神経・脊髄神経のバランスで成り立っています。その神経中枢のタバが陰部神経叢です。その具体的な脊髄神経は、腰椎4番・5番と仙骨2番・3番・4番です。...
View Article泌尿器科の病気の全体像
泌尿器科の病気には、数多くの原因不明の病気がたくさんあります。原因不明のまま治療します。でもそれは、根治的治療ではなく、対症療法なのです。実は、根本的原因が患者さんの自覚しない排尿機能障害が原因なのです。患者さんが訴えもしない排尿機能障害を医師が調べもせずに、目の前の症状だけに振り回されて、さまざまな病名・病気が作られるのです。...
View Articleα1ブロッカーの効く理由
前立腺肥大症や排尿障害の患者さんにα1ブロッカーと呼ばれるクスリを私たち泌尿器科医は使用します。 どのような作用なのか、イラストで表しました。平滑筋細胞の細胞膜にα1受容体(α1レセプター)というスイッチが存在しています。自律神経である交感神経の末端から放出されるアドレナリン(カギ)が、このスイッチに作用するのです。α1受容体にスイッチが入ると、平滑筋は収縮します。 例えば、膀胱出口の...
View Articleオシッコがゼロの患者さんの頻尿
頻尿を訴え、千葉から40代の男性患者さんが平成28年8月の初めに来院されました。症状は3月頃より発症し、膀胱炎の診断で、抗生剤と抗コリン債を処方されましたが治りません。頻尿の程度は、1時間に1回のペースです。実は、この患者さんは、私と同じで慢性腎不全が原因で、血液透析を実施しており、尿が1滴も出ない人でした。それでも、頻尿と残尿感が出るのです。不思議でしょう?...
View Article手術の工夫
先日、関西のお医者さんを手術しました。以前から慢性前立腺炎症状で悩まれていた患者さんです。排尿機能障害が原因の病気ですから、左右対称に切開あるいは切除すると、再度排尿機能障害に陥りやすいのです。そこで、非対称に切開を行うのです。ではどちら方向に切開をすれば良いでしょうか?鬼門・裏鬼門の方角ラインは、北東→南西のラインです。私は手術室の位置関係で北に向かって手術をしています。ですから、幸運の方向ライン...
View Article時代
中島みゆきさんの作詞・作曲・歌 今はこんなに悲しくて涙もかれ果ててもう二度と笑顔には なれそうもないけど……「さまざまな病気や人生で苦しむ人はたくさん存在します。だからと言って、すべてが終わりではありません。」 そんな時代もあったねといつか話せる日がくるわあんな時代もあったねときっと笑って話せるわだから...
View Article慢性前立腺炎がなかなか治らない患者さんへ
慢性前立腺炎、間質性膀胱炎、難治性過活動膀胱でなかなか治らない患者のお役に立てれば良いと思い、主治医に下記の文面を参考にお渡しください。 ************...
View Articleエコー検査で分かる膀胱出口の秘密構造
エコー検査で膀胱出口を観察すると、側面像で見えるのは、一般的に膀胱三角部と膀胱排尿筋だけです。ところが、排尿機能障害が強く長期間であると、側面像に膀胱括約筋が観察されます。膀胱出口の正面像では、イラストで示すように、左右に膀胱括約筋(青色)常に確認できます。12時と6時の位置には膀胱括約筋は無い筈なのです。6時には膀胱三角部があるので、ないのは当然です。...
View Article慢性前立腺炎の多彩な症状
一般の医師は、慢性前立腺炎の症状を頻尿、陰部の痛みだけだと思っています。それ以外の症状は「気のせい」「ストレスが原因」「精神科の病気」と判断します。私から言わせて頂ければ、病気はそんなに単純ではなく、人間はある意味で小宇宙のはずです。...
View Article慢性前立腺炎で悩まれている方に
私のブログにたくさん記載されているように、慢性前立腺炎と呼ばれる病気は、患者さんが自覚しない排尿機能障害が原因です。本当の炎症ではありません。...
View Article慢性前立腺炎の所見
当院には慢性前立腺炎で何年も苦しみ悩まれている患者さんが、日本全国からたくさん来院されます。それらの患者さんはそれまでいろいろな検査を行い特に異常がないと診断され、最後には「気のせい」「ストレスが原因」とまで言われてしまうのです。 そこで私が超音波エコー検査を行うと、異常所見だらけです。先ずは、正常の前立腺の超音波エコー検査所見をイラストで示します。...
View Articleエコー所見で分かる、慢性前立腺炎の原因
開業医となって31年間経ちました。患者さんの総数が3万7千800人にもなります。その中で多い病気か慢性前立腺炎で約7千人程になりました。 その多くの患者さんの初診の時に、必ずエコー検査を行いました。それ程多くの患者さんをエコー検査を行うと、次第に見えて来る真実が分かりました。 エコー検査所見の見方を解説しましょう。...
View Article原因不明の泌尿器科の病気①
原因不明の泌尿器科分野の病気としては、非細菌性慢性前立腺炎、間質性膀胱炎、非細菌性慢性尿道炎、過活動膀胱、慢性骨盤疼痛症候群、陰部掻痒症があります。しかしながら、これらの病気の原因は実はすべて排尿機能障害です。当院に来院された、これらの病気で治らなかった患者さんの8割以上は、排尿機能障害に関連したお薬で症状は軽快しました。❶非細菌性慢性前立腺炎...
View Article排尿機能障害や具体的理由
膀胱出口が開くためには、尿道括約筋が開きながら引っ張ると、収縮している膀胱出口が開くのです。膀胱出口は、常に膀胱括約筋で閉じられているのです。一般の医師は、排尿時に膀胱括約筋が自らの力で開いていると思っているのです。そして排尿障害のある人は、膀胱括約筋が緩まないからだと思い込んでいるのです。初めのイラストは正常の排尿の表示です。左が蓄尿時を表現しています。膀胱括約筋と尿道括約筋のつながりの位置に注目...
View Article潰瘍性大腸炎の裏の原因
原因不明の難病として、安倍総理大臣が辞めることになった「潰瘍性大腸炎」と言う病気があります。潰瘍性大腸炎はなかなか治らないので「難病指定」になっています。原因不明ですが自己免疫疾患として、免疫抑制剤を投与されますが、確実に効果が得られないので、難病指定になっているのです。このニュースを見て、過去に私が考えた事を思い出しました。...
View Article過活動膀胱の治療薬
過活動膀胱の治療薬である頻尿治療薬である、抗コリン剤(トビエース・ベシケア)とβ3作動薬(べオーバ・ベタニス)があります。一般の医師は、単なる頻尿治療薬としか思わないで、処方しているだけです。...
View Articleユリーフ、ハルナール、フリバスの違い
排尿障害の治療薬であるα1ブロッカーには、ユリーフ(シロドシン)、ハルナール(タムスロシン)、フリバス(ナフトビジル)があります。患者さんによっては、効果が同じ人もいれば、特定のものしか効果の出ない人もいます。 その理由は、表を見れば分かります。α1ブロッカーには、作用するα1受容体のサブタイプが微妙に違うのです。...
View Articleボトックス
2007年にボトックス注射の資格を取りました。資格がないとボトックスを購入出来なかったからです。当時は美容整形のシワ取りのための注射でした。それを膀胱や前立腺の治療として利用しました。しかし、ボトックスが高額(10万円)だし、効果が50%だったので、その後は止めました。...
View Article膀胱出口の欠点
膀胱と直腸は、一卵性双生児なのです。胎児4週目に総排泄腔の中央にくびれが生じて、胎児6週目にはドンドンくびれが深くなります。そして胎児7週目に、膀胱が前に、直腸が後ろに完成するのです。 同じ臓器な...
View Article慢性前立腺炎の原因
非細菌性の慢性前立腺炎が治らない患者さんがたくさん来られます。 抗生剤や抗菌剤を長期間処方され、漢方薬(桂枝茯苓丸)や抗うつ剤を処方されても治らないと、検査しても異常がなく、自律神経失調症・治らない病気と診断されるのです。...
View Article慢性前立腺炎の真実
慢性前立腺炎で、いろいろな症状が出ます。抗生剤や抗菌剤を長期間服用しても治らないので、悩まれている患者さんがたくさんいます。 実は、この病名が間違いなのです。炎症ではないので、炎症を抑える治療薬を飲んでも治る訳がないのです。その原因は、患者さんが自覚しない排尿障害が原因です。 残尿測定検査やウロフロメトリー尿流検査を行なっても正常範囲の患者さんも存在しまず。エコー検査で分かる所見は、次の通りです。...
View Article慢性前立腺炎のエコー所見
原因不明の慢性前立腺炎の患者さんがたくさん来られます。尿検査、CT検査、エコー検査で異常を認めないと言うのです。 しかし、私がエコー検査を行うと、必ず異常所見を認めるのです。そこでエコー所見をイラストで解説しましょう。初めのイラストは正常所見です。前立腺は膀胱と接しています。膀胱出口は通常閉じていますから、一見不明瞭です。膀胱縦走筋である排尿筋は膀胱出口に向かっています。...
View ArticleM慢性前立腺炎の手術
原因不明とされている「慢性前立腺炎」の原因は、患者さんが無自覚の排尿障害と膀胱三角部の過敏さが原因です。 積極的な排尿障害の治療薬のα1-ブロッカーであるユリーフ・シロドシン、ハルナール・タムスロシン、エブランチルと、膀胱三角部の興奮を鎮めるβ3作動薬であるベタニス、ベオーバの投与で患者さんの80%以上が軽快しました。...
View Article紹介状
泌尿器科で原因不明とされ明確な治療が出来ない難病がたくさん存在します。その例として、❶間質性膀胱炎❷難治性過活動膀胱❸非細菌性慢性前立腺炎❹神経因性膀胱❺膀胱疼痛症❻慢性うっ血性骨盤疼痛症候群❼慢性尿道炎❽陰部掻痒症これらの病気は患者さんが自覚しない、医師が検査しても正常範囲内と診断されてきた排尿障害が原因なのです。泌尿器科医師が行う尿流測定、残尿測定、膀胱内圧検査、細菌培養検査、エコー検査、内視鏡...
View Articleウンコとオシッコの仕方
ウンコの出し方は,イラストのように前屈みで実行すると出しやすくなるのです。その理由は直腸が後ろに傾いているからです。前かがみにすると、直腸と肛門が一直線になり、腹圧でウンコが肛門まで下がるのです。 四つ足動物である犬もウンコをする時に、四つん這いではなく、やはり前かがみで排便します。オス犬は片足を上げてオシッコしますが、高齢のオス犬や全てのメス犬は前かがみになってオシッコをします。...
View Article慢性前立腺炎の治療
先日、お母様と2人で二十歳の青年が来院されました。以前からオシッコが終わっても、30分から1時間は尿意を感じて治らないのです。さらに、膀胱出口と尿道が開いた感じがして、常にオシッコが漏れそうな感覚なのです。地元の泌尿器科を受診したら、よくあるパターンの「慢性前立腺炎」「過活動膀胱」最後は「気のせい」と診断され、現在は心療内科にかかっています。抗生剤や抗コリン剤を処方されましたが、改善が得られません。...
View Article慢性前立腺炎の原因と治療
慢性前立腺炎と診断されて、地元の医師に治療されても治らない患者が多く、全国から当院に来院するのです。❶ 実は慢性前立腺のはウソの病気です。一般の医師は原因がよくわからないで、この病名をするのです。❷ 原因は患者さん本人が自覚しない排尿障害が原因です。特に排尿障害で膀胱に負担がかかり、膀胱三角部が過敏になり、頻尿以外の痛み、かゆみ、シビレなどを全身に作るのです。❸...
View Article慢性前立腺炎の本当の原因
❶慢性前立腺炎は、本当は前立腺の病気ではありません!排尿障害が隠れていて、患者さん達が気が付かないのです。その結果、膀胱頚部硬化症になっているのです。❷排尿障害で膀胱の出口🟰頚部が変形して硬くなっています。そのため膀胱三角部に負担がかかり、膀胱三角部がいろいろな症状を作り、それが慢性前立腺炎の症状になるのです。❸ですから、排尿障害を軽快して、膀胱三角部の治療をすれば、症状は軽快します。
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