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Channel: 慢性前立腺炎・膀胱頚部硬化症
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患者さんからのレポート#50

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ご無沙汰しております。術前、術後と色々と有難うございました。
栃木県〇〇〇〇市のカルテ番号・・169の〇〇〇〇です。
いつも、先生のご活躍を、インターネットを通して拝見させて頂き、大変感動しております。

5年半あけて、昨年の10月24日に膀胱頚部硬化症の4回目の手術をして頂きまして有難うございました。
術後の経過を、報告させて頂きます。

今回はまた前回の手術よりも広く、深く、また、前立腺の一部も少し切ったせいか、術後の出血がなかなか止まらなくて、3週間くらい続きました。
日が経過するにつれ、排尿の勢いはだんだん良くなり、腹圧をかけずに楽に排尿でき、出始めるまでの時間も早くなってきました。ただ、頻尿や残尿感などの膀胱刺激症状がなかなか良くならずに、術後1ヶ月で高橋先生に診察していただき、デパスとロキソニンを飲み経過観察をしていました。

1~2時間に1回の頻尿と、軽い尿意が常にあり、すっきりしない毎日を、術後の傷がなかなか治らないのだと信じ我慢しておりましたら、ふと4ヶ月経過した頃から、刺激症状がだんだん気にならなくなり、6ヶ月経過した現在では、おしっこの事が頭から離れてほとんど気にならなくなりました。今は3~4時間に1回の排尿で、軽い尿意は全く感じません。たまにおしっこが近いなあって感じる事があるぐらいです。薬も何も服用しておりません。

排尿の勢いと出始めるまでの時間は、術後の狭窄のせいか、少し悪くなったような気がします。
それから、今回の手術が前回までと明らかに違う症状は、逆向性射精になってしまい、自分としての感覚は、80~90%が膀胱に逆流して、かろうじて10~20%が外に出る感じです。でも言い換えれば、膀胱頚部が開いた状態で治り、尿路は確保されていると言うことだと思います。4回目ですし、自分もパイプカットもしておりましたので、排尿障害を改善させることを最優先にして、思い切って、前立腺の方まで広く切っていただきたいと先生に頼みましたから、今の状態に大変満足しております。逆向性射精になっても射精感はありますので、全然問題ありません。

色々とありましたが、とにかく今、自分が何とかここまでやってこれたのは、間違いなく高橋先生に出会えたからだと思います。
頭のどこかに、辛ければ先生に相談してみようとか、薬をもらおうとか、駄目ならまた手術をお願いしようとか、心のよりどころになっていました。
本当に有難うございました。

先生の理論は分かりやすいですし、実際に自分が手術を4回も受けて、実感として改善がはかれました。でも、再狭窄の具合で、また元に戻ってしまうことも分かりました。ただ、回を重ねる度に、前よりは次、前よりは次へと徐々に改善されることも体感しました。

私も、この状態が続く事を願いながら、前向きに生活していきたいと思います。何かありましたらまた先生のところに伺いますので、今後ともよろしくお願いします。

先生もくれぐれもお身体は大事になさって、これからも悩める膀胱頚部硬化症の皆さんのためにご活躍なされる事、心よりお祈り申し上げます。
本当に有難うございました。

この文面をレポートに掲載しても結構ですので。


お礼のメール

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高橋知宏 先生

先日は驚愕の診察をして頂き、誠にありがとうございました。
5日経過しましたので、お礼かたがた近況のご報告をさせて頂きます。

今まで35年間で30人以上の泌尿器科の先生に診察して頂いて数え切れないほどのお薬を飲みましたが全く効果がありませんでした。
殆ど諦めておりましたがインターネットのブログで先生の事を知り、南九州から伺わせて頂きました。

私の間質性膀胱炎は、50歳代までは頻尿による不快感は有るものの我慢出来ぬ程ではありませんでした。しかし60歳になってから急に潜伏進行していた病魔が満を持したように一斉攻撃で全身に襲いかかってきました。

眠りたくても1時間ごとにトイレのために目が覚めて、熟睡が出来ない、過敏性腸症候群で一日中ガスがお腹に発生する、足先の激冷え、難聴、腰痛、原因不明の舌先の激痛等です。

この病気を経験した人にしか分からぬ、のたうちまわるような悶絶の苦痛でした。阿鼻叫喚の地獄です。
しかし先生の処方して下さった、「たった2粒のお薬で」私はこの底なし沼の地獄から救出されました。とても調子がいいです。付随していた周辺の不定愁訴にまでです。そこに驚愕しています。

それは例えて言えば、猛獣ライオンが入った檻にマジシャンが黒布を掛けて、ポール・モーリア・オーケストラのBGMよろしくそのワゴンを1回転させ、次の瞬間に猛獣ライオンを檻の中から消し去っているかのごとき驚きです。

先生のブログに、外科医は100種類の薬を知悉して使いこなせねば一人前とは言えぬ、そして内科医は200種類だ。と仰っていた事が思い出されます。
先生の手術の凄さをブログで拝見したのですが、手術ばかりではなく先生はお薬の処方でも驚異的だったのですね。嬉しい悲鳴です。
まさに、「高橋クリニックの真骨頂ここにあり!」ですね。

あれから5日間経ったというのに(過去の辛かった事を思い出すと)、今起こっていることが、いまだに夢のようです。いや、夢なのでしょうね。それでもいいんです。こんな幸福な夢なんて決して誰でも見れる夢ではないのですから。

高橋知宏先生、本当にありがとうございました。重ね重ねお礼を申し上げます。これからもどうぞ、よろしくお願いいたします。

〇〇〇〇

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35yrscp60m27667患者さんが診察の際に私に渡した病歴のメモです。

この患者さんは、初めに「前立腺肥大症」と診断されて内視鏡手術を行っています。次に「慢性前立腺炎」と診断され、さらに「間質性膀胱炎」と診断され、膀胱水圧拡張術を受けましたが症状(頻尿)は改善せず、膀胱三角部の内視鏡手術を希望され、高橋クリニックを受診しました。
このメモをお読みになれば分かるように、膀胱水圧拡張術の際に膀胱頚部硬化症(尿道が狭い・・・)を認めています。執刀医は膀胱頚部切開のみでそれ以上の治療をしていないので、症状は軽快しないのです。

内視鏡手術の前に保存的治療を試みようと、α‐ブロッカーであるユリーフと抗男性ホルモン剤のプロスタールを5月8日に処方したところ、5月13日に上記のメールがありました。

【メール#2】

高橋 知宏 先生

お忙しい中、早々にメールに目を通していただきありがとうございました。
また、匿名でブログにも掲載していただいたとの事、誠にありがとうございました。
病気で苦しんでいる人が一人でも多く見てくれると嬉しいですね。
その後も、お薬を飲むのがとても楽しみです。
飲む毎に元気が出るような気がしています。まるでポパイがほうれん草を食べるように。
先生もお身体に気を付けてお過ごし下さい。
ありがとうございました。

〇〇〇〇

【メール#3】

高橋 知宏 先生

先日はお薬をお送り頂き、ありがとうございました。
丁度一ヶ月が経過しましたが、その後もお薬がよく効いて、頻尿回数が減っております。
過去一日30回だった頻尿が、現在12、3回と半分以下です。特に嬉しいのは夜間頻尿が減少した事です。

最悪の時は連夜の夜間頻尿で寝不足が続き、頭が割れるように痛かった時がありました。もう自分の人生もここまでなのかな?と思いつめた事もありました。
ヒュ~、ヒュ~と風の音しか聴こえない無人島の岸辺に一人で立っている自分を想像していました。

ところが今では高橋先生のお陰で寝不足が解消して、元気が漲っております。何か新しい事でも始めようかなと思っているくらいです。
2度目の人生を高橋先生から貰った気分です。手術もしていないわけですので、最初の内は夢だろうな、と信じられませんでした。しかし1ヶ月が経過して少しづつ実感が沸いてきております。

高橋知宏先生、本当にありがとうございました。これからも、どうぞよろしくお願いします。ファイト!

〇〇〇〇

他院で手術された患者さん

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昨年4月に診察していただいた 〇〇〇〇県〇〇〇〇市の〇〇〇〇(診察券no・・813)でございます。

ブログ毎回見ております。目の具合はいかがでしょうか。案じております。


あれから高橋先生の診察所見およびエコー画像、そして99回泌尿器学会のブログ内容を持ち友人医師の紹介により〇〇〇〇病院で手術いたしました。
友人医師(内科)は高橋先生の内容をよく理解してくれたのですが、執刀医師はやはり簡単な切開手術で(やはり高橋先生の診察どおり柵形成しておりました)5時7時を切開しました。
6時の部分が残っていますねと申しましたら高橋先生のように6時を切開すると狭窄が起きますといわれ、ああやっぱりこの先生も駄目かと。
(オペしていただけでありがたいと思わなければいけないのでしょうが、こんなのは病気じゃないと言われたのはショックでした。ガン以外は病気じゃないように思っておられるようです)

手術後半年間の苦痛悶絶から昨年11月から突然症状が好転、不快症状もほぼなくなり尿線も非常に太くこのまま良くなってほしいと思っておりましたが、やはりこの5月連休から突然悪くなりました。
痛み、不快感、間断のない頻尿感、なにより辛いのは尿線細くスムースに出せなくなったことで毎日地獄です。

やはり先生に診察、場合によっては手術していただきたいのですが、目のお具合等からオペは控えておられるのでしょうか?

よろしくお願いします。  

〇〇〇〇県〇〇〇〇市 〇〇〇〇(クリニックで先生と撮った写真を待ち受け画面にしております) 

【備考】
膀胱頚部硬化症の一般的な手術方法は、この患者さんが受けたと同じ方法で、針型電極で数ヵ所の切開だけです。
膀胱頚部硬化症の慢性前立腺炎症状は、膀胱三角部で興奮した平滑筋が原因と私は考えています。
Trigone発生学的に解剖学的に膀胱三角部の延長は、膀胱出口の「6時」を経由して前立腺部尿道の精丘(精阜)まで連続していますから、内視鏡手術の際には「6時」の部分を切除して膀胱三角部を切り離し、緊張を解除させる必要があるのです。

慢性前立腺炎の本態と治療

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Bnscppathoこのテーマで、慢性前立腺炎に関して364番目のテーマになります。
思いつくままに記事を書いていますが、全体が大きくなり過ぎると、慢性前立腺炎の正体や本体が見えなくなる欠点が出てきます。
時には、まとめ的に記事を書くことにしています。慢性前立腺炎=膀胱頚部硬化症の病理的本態は、このイラストのようだと考えています。

1.この病気の原因の本質は、排尿機能障害です。
2.排尿機能障害が自覚しないで継続すると、下部尿路に物理的負荷がかかります。
3.その負荷は、機能的には膀胱三角部や膀胱頚部の知覚過敏を作ります。
4.器質的には、超音波エコー検査などで、膀胱頚部の硬化像・膀胱三角部の肥厚・膀胱括約筋の変形・前立腺肥大症・前立腺結石として確認されます。
5.膀胱頚部の知覚過敏は、脊髄神経を常に興奮させ、ついには異常な神経回路を形成します。
6.神経回路で増幅した情報は、直接的には頻尿症状を作り、過活動膀胱・心因性頻尿・間質性膀胱炎と誤診されます。
7.情報は自律神経や免疫システムの中枢である視床下部を興奮させますから、その結果、自律神経症状や免疫興奮症状を作ります。
8.脊髄内を上向する情報は、膀胱や前立腺以外の知覚神経に流れるので、関連痛としてしびれ・痛み・痒みなどの症状が形成されます。

Bnscppatho2患者さんのブログでは、一生懸命に治療法やサプリメントを模索しています。
医師である私もボヤボヤしてはいられません。私なりに、治療の根拠をイラストに示しました。全てが解明されている訳でもなく、また、その理由も不確かです。しかし、理論や根拠がどうであれ、患者さんの苦しみが軽減すれば良いのです。

病気の本態が、これほど多岐にわたると、排尿機能障害を治療しただけでは治らないのは当然でしょう。神経回路が介在していますから、症状は独立して自由勝手気ままに患者さんを苦しめることになります。そこで、治療に関してもシステマティックに攻略しなければ病気に負けてしまいます。
1.排尿機能障害に関しては、膀胱平滑筋の緊張を緩めるα‐ブロッカー(エブランチル・ハルナール・ユリーフ・フリバスなど)を使用します。
2.前立腺肥大症が存在すれば、物理的に排尿機能障害が生じますから、抗男性ホルモン剤(アボルブ・プロスタール)も使用します。
3.膀胱平滑筋は、感覚器としての機能も持ち合わせているので、緊張を緩めれば、感覚器の出力も低下すると考えて、α‐ブロッカー・ベタニス(β3作動薬)・大豆イソフラボンを処方します。
4.膀胱頚部・膀胱三角部からの情報は、脊髄に流れます。その流れを少しでも抑えるために自律神経の安定剤であるデパスを使用するのです。
5.しかし、脊髄内の神経回路が強固で、情報の増幅が著しければ症状の改善も難しくなります。そこで、脊髄内の神経伝達を低下させるために、鎮痛剤であるノイロトロピン・カロナール・ノルスオアンテープや抗てんかん剤であるガバペンを使用することになります。
6.ここまで攻めても、難攻不落の病気です。その他の治療として、効く理由がハッキリしませんが、利尿薬である
ダイアモックス、抗アレルギー剤であるジルテック、抗菌剤であるクラビット・ミノマイシン、漢方薬を使用します。

抗菌剤や抗生剤は、恐らくは薬剤の副作用(神経障害作用・免疫抑制作用)が症状を抑え込むのでしょう。抗菌剤がわずかながらでも効くので細菌が原因と誤解される所以です。たくさんの患者さんとの過去の病歴の中で、これらの抗菌剤が効いたという事実があるので、そのように考えます。

漢方の病気の見方は西洋医学の世界観とは相いれないので、詳細に解説することはできません。「患者さんのブログ」には桂枝加竜骨牡蛎湯に効果があったという方がいます。もともと下半身の「神経衰弱」の薬です。通院している患者さんにエブランチルと桂枝加竜骨牡蛎湯の組み合わせを処方したところ、奏功した患者さんが実際にいます。その患者さんはエブランチル単独でも、桂枝加竜骨牡蛎湯単独でも効果が得られなかった人でした。桂枝は鎮静作用のあるシナモン、竜骨はカルシウムを多く含んだ動物の骨、牡蛎(ボレイ)は亜鉛を多く含んだカキが原材料です。

慢性前立腺炎の治療 α‐ブロッカー

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Rinpi201210今月号の「臨床泌尿器科」雑誌に、「古くて新しい前立腺炎の臨床」というテーマで特集が組まれていました。
その中で、慢性前立腺炎とα‐ブロッカーについて掲載があったので、ここでご紹介しましょう。

ついに、慢性前立腺炎の治療にα‐ブロッカーが認められたと喜んで雑誌を読んでみました。

Rinpi2012102慢性前立腺炎にα‐ブロッカーの効果が出るための作用機序について、右のような記事が出ています。

これを読んで、ガックリしました。
α‐ブロッカーが尿道抵抗を低下させ、前立腺導管への尿の逆流防止で治療に役立ているというのです。結局、前立腺の炎症という呪縛から頭が離れられないのです。

Rinpi2012103ガッカリしていたところ、同じ雑誌の号に「慢性前立腺炎と排尿機能・性機能との関連」という記事が目に止まりました。

Rinpi2012104右の図は、慢性前立腺炎の
患者さん群とコントロール群(正常群)との尿流量測定検査(ウロフロメトリー)の比較です。
患者さん群は、正常の尿流曲線は40%だけで、60%の患者さんは尿流曲線に異常を認めたのです。
つまり、客観的な排尿機能検査で60%の人に排尿機能障害が存在しているのです。
この排尿機能障害がある患者さんに排尿機能障害の治療薬であるα‐ブロッカーを投与して改善するのは当然でしょう。
尿道抵抗が云々、前立腺導管の逆流が云々などと考えないで、α‐ブロッカーで排尿機能が改善したから、慢性前立腺炎症状が改善したと、なぜ単純に考えらえないのでしょうか。

【補足】
最近、記事を書いていないというコメントを見たので、書きましたよ!
新しいネタがなければ、私も記事を書けません。記事を書くために記事を書いているのではなく、真理を追究するために、ひいては患者さんを救うために記事を書いています。ただダダらにくだらない記事を書きたくないのです。

慢性前立腺炎の症状#17 「突発性睾丸挙上・埋没睾丸」

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32歳の男性患者さんです。
5年前から、月に1回程度の頻度で両方の睾丸が突然お腹に入ってしまう現象がありました。
「突発性睾丸挙上」あるいは「突発性埋没睾丸」とでも表現すれば分かりやすい現象です。どうやら、仕事で疲れたりストレスがたまると発症するようです。
ひとたび、この現象が起きると手で引張っても睾丸が降りてきません。気分が悪く下腹部全体が不快です。時には肛門の奥までもが不快感を感じます。思い余って、泌尿器科に8軒、心療内科に1軒、精神科に1軒ドクターショッピングしましたが、一向に改善しません。
3年前からは、この現象の頻度が1週間~2週間に1回に起き、頻度が増してきました。
インターネットで高橋クリニックにたどり着き、平成24年9月に来院しました。

超音波エコー検査で前立腺結石と膀胱三角部の肥厚硬化像が認められます。
尿流量測定検査(ウロフロメトリー)では、前立腺肥大症タイプの尿流曲線です。
排尿機能障害を伴った膀胱頚部硬化症と診断し、α‐ブロッカー(エブランチル)を処方しました。1ヶ月後、この現象が起きなくなりました。患者さんは大喜びです。「先生は神です。」と持ち上げてくれました。

α-ブロッカー治療と内視鏡手術との間の治療

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α-ブロッカーを服用しても、思うように治療効果の出ない人もいます。保存的治療で効果が出なければ、即、内視鏡手術を選択するのも考えてしまいます。

もっと、中間的な治療法はないものかと考え、ボトックス注射による治療法を考え出して実施しましたが、その効果のあった人は50%で、効果のあった人も3ヵ月程度しか効果が持続しませんでした。
その後、ベタニスの登場で問題が解決かと喜んだのですが、効果のある人は30%強で完全な治療の選択肢としては、まだまだです。

さらに、新しい治療法を模索していた時に、ふとある現象に気が付いたのです。その現象とは、内視鏡手術直前の内視鏡検査でのことです。
Bns25730m27私は内視鏡検査で17フレンチサイズの硬性鏡を利用します。17フレンチサイズは直径5.7mmです。
右の写真では、膀胱出口が上方に小さく存在し、精丘越しには観察できません。

Bns25730m272この硬性鏡で観察した前後、膀胱出口は大きくなるのです。広がるのです。直径1mm位の膀胱出口が3mm程度に拡張しているのです。術前の内視鏡検査で膀胱の隅々まで観察するので、その操作で膀胱出口は結果的に拡張されてしまい当たり前の現象ですが、そのことがフッと気になったのです。
同じ患者さんの写真では、内視鏡検査後、膀胱出口が確認できます。

膀胱頚部硬化症の内視鏡手術は、硬くなった膀胱頚部の手術です。その目的の一つ(※)に狭く硬くなった膀胱出口を電気メスで切除し十分に広げることにあります。ただ単に広げることを目的とするのであれば、電気メスを利用しなくても出来るのではないかと考えるようになりました。

※その他の目的として次があります。
1.膀胱三角部の電気蒸散手術
2.膀胱頚部の症状発現のトリガーポイント手術

Bns25730m273手術直前に尿道拡張ブジーで25フレンチサイズまで尿道全体を拡張します。なぜなら内視鏡手術の器具が24フレンチサイズ(直径8mm)で、そのまま挿入すると尿道が裂けることがあるからです。その操作直後に膀胱出口を観察すると、それでも4mm前後しか膀胱出口は拡張されていません。膀胱頚部の柵形成は解消されていません。
写真は術前尿道拡張後の所見です。画面のループ状の電気メスの直径は5mmです。

ここまでの現象は、術前処置の段階でのことです。もしも膀胱出口(膀胱頚部)を拡張する目的で処置や操作をすれば、膀胱出口はもっと恒久的に広がるのではないでしょうか。α-ブロッカーや手術で膀胱出口を広げることなく、あるいは柵形成を切除することなく膀胱出口を広げることが出来たなら、膀胱頚部硬化症の慢性前立腺炎症状は改善できるかも知れません。

そこで思いついたのが、尿管結石手術の際の尿管拡張バルーンカテーテルや尿道狭窄治療に使用される尿道拡張バルーンカテーテルの特殊な器具の存在です。
尿管拡張バルーンカテーテルは30フレンチサイズ(直径10mm)まで膨らませることができます。
尿道拡張バルーンカテーテルは26フレンチサイズ(直径8.7mm)まで膨らませることができます。
これらの道具を使い、膀胱出口(膀胱頚部)のみを恒久的に拡張できれば、内視鏡手術の後遺症を心配することなく、それなりの効果が期待できるかも知れません。

α-ブロッカー治療と内視鏡手術との間の治療 その2

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Bnsnol_2単なる解説だけでは理解しがたいと思うので、簡単な図を使って解説しましょう。
右の図は、正常な男性の膀胱・前立腺を横から見たイメージです。膀胱出口は十分に開く状態です。

Bnstypical_2排尿機能障害が存在し、長い時間が経過すると膀胱頚部硬化症になります。膀胱頚部硬化症になると膀胱頚部が発達して膀胱出口が狭くなります。それと同時に膀胱三角部も肥厚します。形態学的な異常(器質化)は機能異常をさらに増強させ、周辺の感覚(膀胱三角部や膀胱頚部)を興奮させ、慢性前立腺炎症状を作るのです。

Bnsop_2α-ブロッカーの治療で症状や形態学的な所見が改善しなければ、内視鏡手術を行います。
内視鏡手術では、発達した膀胱頚部と肥厚した膀胱三角部を切除・蒸散します。

Bnsop2_2手術によって、膀胱頚部と膀胱三角部は本来の正常な形に修正します。
膀胱出口は正常な時と同じように広く開大します。手術により膀胱三角部や膀胱頚部の興奮した平滑筋もなくなりますから、平滑筋興奮による症状も軽減されます。

Bnsballon_2前回のテーマで解説している新しい方法は、特殊なバルーンカテーテルを挿入し、膀胱出口だけを中心にバルーンを膨らまします。
発達した膀胱頚部は筋肉や粘膜の発達ですから、このような物理的な強い力で矯正されます。

Ureterballon実際の尿管拡張バルンカテーテルは右のような製品です。
この製品はBOSTONサイエンティッフィックス社製のものです。

Ureterballon2通常のバルンカテーテルは膨らましても圧力が分散して狭い所を十分に広げることができないのですが、この尿管拡張用バルンカテーテルは狭い所も含めて均等に膨らませることができるので、膀胱頚部硬化症の膀胱出口を広げるには打ってつけかも知れません。

Bnsballon2_210分ほど矯正したらカテーテルを取り外します。そこには正常に近い広くなった膀胱出口が作られます。
膀胱頚部が修正されたことで、膀胱頚部の緊張が緩和され、同時に膀胱三角部の緊張も緩和されますから、理論的に膀胱三角部の興奮も抑えられるでしょう。


α-ブロッカー治療と内視鏡手術との間の治療 その3

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Bns25730m273実際の内視鏡手術では、術前の膀胱出口2mm~3mm程度の直径から、手術直後、短径6mm×長径15mm程度に拡張します。

Bns25730m274バルンカテーテルで内視鏡手術と同じ効果を得るためには、膀胱出口を短径10mm×長径20mm程度まで拡張しなければなりません。
ところが、尿管拡張バルンカテーテルの直径は膨らまして最大10mmしかありません。このカテーテルで10mm×20mmの効果を得るためには、このカテーテルを2本縦に挿入して、同時に膨らませる必要があります。

内視鏡を利用してカテーテルを挿入できるのは1本だけです。2本同時に挿入しなければならないとすれば、その操作は煩雑極まりないことになります。
まずは内視鏡を利用してカテーテルを1本挿入し、バルンを膨らまします。この場合、膀胱出口は短径10mm×短径10mmの円状に拡張されます。カテーテルの構造上、カテーテルを残して内視鏡を抜くことはできませんから、カテーテルの位置を記録し、内視鏡とカテーテルを同時に抜きます。
次に、内視鏡を利用することなくカテーテルを2本同時にブラインドで挿入します。カテーテルの位置は、先ほど記録した位置で2本とも固定します。そして2本同時にバルンを膨らまします。すると短径10mm×長径20mm(10mm+10mm)になり、目的の膀胱出口の拡張になります。

コメントの紹介であるように、前立腺肥大症のバルンカテーテルによる治療は以前から存在します。しかし、前立腺肥大症は充実した硬い組織なので、バルンで拡張しても元に戻ってしまいます。また、前立腺は出血しやすい組織なので、バルンで前立腺を拡張すると出血が問題になります。

外来患者さんの内訳

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毎日の診療に追われていると、どの病気の患者さんがどのくらい来院しているのか正確には分からなくなります。
そこで、今月11月の1ヵ月間だけ初診の患者さんの統計を取ってみました。毎月の患者さんは総数800人~900人です。その内、初診の患者さんは200人前後ですから、その中で泌尿器科に関する患者さんだけの統計です。
慢性前立腺炎=男性の膀胱頚部硬化症、間質性膀胱炎=女性の膀胱頚部硬化症、PSA値の異常値=前立腺癌の疑い患者さん、性感染症=性感染症の疑い患者さんも含みます。データには再診の患者さんは含めていません。

11月 慢性前立腺炎 間質性膀胱炎 PSA値の異常値 性感染症
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1日   2人                   1人        1人
2日   6人         1人
5日   2人                   1人
6日   1人                   1人
7日   5人                   1人
8日   3人         2人        1人        2人  
9日   3人                   2人        1人 
10日  3人                   1人
12日  2人                   1人        1人 
13日  4人                   1人        1人
14日  2人         3人                  1人
15日  2人                   1人        1人
16日  2人         1人        2人        1人
17日  1人         3人                  2人
19日  3人                             4人
20日  1人                             2人
21日  4人                             1人
22日
24日
26日
27日
28日
29日
30日

アミノ酸:グリシンの不思議な振舞い

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2012年11月28日ベタニス発売1周年記念講演が、丸の内の東京会館で開催され参加しました。
その講演の講師の菅谷公男先生のお話に興味を引かれました。『膀胱の機能進化とその破綻による過活動膀胱』というテーマで、動物実験を中心に膀胱機能と病態生理に関して詳細な知見を得ることが出来ました。
膀胱の排尿抑制回路には、『GABAニューロン』と『グリシンニューロン』の2つの抑制回路が存在し、中枢神経回路と膀胱神経回路の間に介在し、複雑に影響しているとのこと。特にグリシンニューロンは膀胱の興奮を抑えるのに重要な働きをしているらしい。
膀胱に関連した病気、前立腺肥大症・過活動膀胱・間質性膀胱炎の患者さんの脊髄や血液中のグリシン濃度が健常人に比較して明らかに低下しており、動物実験で脊髄中にグリシンを投与すると、傷害された膀胱の機能が回復するのです。

動物実験と同じようにグリシンを人間の脊髄に頻繁に投与することは現実的ではありませんが、食事としてグリシンを十分に摂取すれば、血中・脊髄中のグリシン濃度が高くなり、膀胱(や前立腺)の興奮は抑えることが出来るかも知れません。
人間の体内タンパク質の3分の1がコラーゲンで、コラーゲンの3分の1が話題のグリシンというアミノ酸です。アミノ酸プリメントでグリシンは通販で容易に購入できます。慢性前立腺炎・前立腺肥大症・間質性膀胱炎・過活動膀胱の患者さんに「グリシン」というアミノ酸サプリメントは効果があるかも知れません。

もしも効果があるとすれば、これらの病気はある種の栄養失調(特定のアミノ酸欠乏症)ということにもなります。慢性の炎症・正体不明の感染症・心因性・アレルギー・原因不明の病気と思われていた病気が、単なる栄養失調だったとすれば、今までの医学は何だったのでしょう。

動物実験のように脊髄中にグリシンを注入することは現実的には無理があります。しかし、仙骨神経ブロックの手技でグリシンを注入することは可能です。麻酔としての仙骨神経ブロックは、硬膜外麻酔の範疇に入ります。硬膜外麻酔は、脊髄膜の外側にある硬膜のさらに外側の硬膜外腔というスペースに麻酔薬を注入する手技です。硬膜は脊髄と直接は連絡してはいませんが、細かい枝状に分布していて硬膜外に注入した薬剤が少量ですが脊髄内に浸透していきます。ですから、外来処置として可能な仙骨神経ブロックの手技で脊髄内にグリシンを少量浸透させることは可能だと考えます。

【参考文献】
「脊損ラットにおけるグリシン経口投与の下部尿路機能に及ぼす影響」
著者名:宮里実, 菅谷公男, 西島さおり, 安次富勝博 (琉球大 医 泌尿器科)
資料名:日本脊髄障害医学会雑誌 Vol.17, No.1, Page146-147 (2004.04.01)
抄録:脊損ラットにおけるグリシン経口投与の下部尿路機能に及ぼす影響について検討した。ハロセン麻酔下に下部胸髄を完全切断した,Sprague-Dawley系メスラットを対象とし,膀胱の残尿,及び等容量性膀胱内圧測定を行った。その結果,0.1-1%グリシン添加食では残尿の増加はなかったが,3%では残尿が有意に増加した。このことは,0.1-1%では膀胱収縮と尿道収縮の両方を抑制し,3%では膀胱収縮をより強く抑制したことを示している。また,1%グリシン添加食では普通食と比較して,尿道基線圧が低く,グリシンの陰部神経核への関与も示唆された。以上のことより,グリシン経口投与による頻尿や排尿筋括約筋協調不全の改善効果が示された。

患者さんからのレポート#51

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高橋先生、

診察番号・・・30番、アメリカ在住の〇〇です。8月末の内視鏡手術の際にはお世話になり、ありがとうございました。
先生のプロフェッショナルな姿勢は患者として、また研究者として見習うところが多くありました。

手術後は暫く順調に回復していたのですが、5週目あたりからまた再硬化の症状が現れました。
エブランチルとベタニスで対応していたのですが、なかなか好転しないため色々と心配になりました。
そこで地の利を活かして様々なサプリメントを試したところ、L-シトルリン(750mgを朝晩1錠ずつ)とアグリコン型イソフラボンを併用することで不快な症状が消えました。L-シトルリンにも平滑筋の緊張を緩和する作用があるようです。他にもアルカリイオン水、野菜ジュース(カリウムイオンの作用?)、ビーポーレン、プロポリス(抗炎作用と自律神経の調律?)で一時的に排尿時の違和感、痛みが緩和しました。

以上の経験から、症状の好転しない患者さんにはL-シトルリンとアグリコン型イソフラボンをまず一週間ほど試してもらうことをおすすめします。排尿痛がある場合はアルカリイオン水を併用すると効果的かもしれません。先生の研究・治療の一助となれば幸いです。
先生の益々のご活躍をお祈りいたします。

〇〇

血精液症と排尿障害 第101回日本泌尿器科学会

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2013uro101mokuteki以前にも慢性前立腺炎の症状の一つとして「血精液症」 について解説したことがあります。
今回、札幌で開催された日本泌尿器科学会総会で、統計的な症例報告を4月27日(土)に行いました。1年間に血精液症を訴えた患者さん28例です。

2013uro101heikinzou右の表は、患者さんの平均像です。
前立腺は差ほど大きくなく、排尿障害の自覚もほとんどありません。超音波エコー検査で下部尿路(膀胱・前立腺)にかなりの確率で異常所見を認めます。

2013uro101case典型的な症例を紹介します。
31歳の男性です。
半年前から精液に血が混じり(血精液症)、地元の泌尿器科を受診しましたが、前立腺炎の診断で抗生剤と止血剤の処方を受けましたが改善しません。来院時に排尿障害を自覚していません。
尿流量測定検査(ウロフロメトリー)で膀胱頚部硬化症型の尿流曲線を示しています。残尿も60ml以上もありました。
排尿障害と判断しα-ブロッカーを処方したところ1ヶ月後には血精液症は消失しました。

2013uro101ecohこの患者さんの超音波エコー検査所見です。
典型的な所見で、膀胱頚部硬化像・膀胱括約筋の変形・前立腺結石・膀胱三角部の肥厚・膀胱頚部の静脈瘤を認めます。
排尿障害の形態学的所見です。

2013uro101ipss統計を取ると、排尿障害の症状を自覚しているのは28人中2人、7.1%にしか過ぎません。

2013uro101flowpatern尿流量測定検査(ウロフロメトリー)で正常パターンの患者さんは、わずかに16.7%です。正常である人が2割にも満たないのです。

2013uro101qmax最大流量率(排尿速度)  mL/秒をとても甘い設定(20以上)にしても、66.7%の人が問題があります。

2013uro101qmean平均流量率(排尿速度)  mL/秒を同じく甘い設定(10以上)にしても、62.5%の人に問題があります。

2013uro101residual


2013uro101effect

2013uro101mechanism排尿障害が長期間に渡り継続すると、前立腺組織内の圧力や密度が高くなります。
そのため、前立腺組織内の毛細血管が不連続に圧迫されます。それに続く圧力の低い所の毛細血管は拡張し風船状態になります。本来、毛細血管と前立腺腺組織は直に接してはいませんが、風船状に膨瘤した毛細血管は腺組織に接します。

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慢性前立腺炎/慢性骨盤疼痛症候群(CP/CPPS)101回日本泌尿器科学会パネルディスカッションから

慢性前立腺炎/慢性骨盤疼痛症候群 m3.comから

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慢性前立腺炎、自転車は禁忌 【時流◆前立腺】
増える慢性前立腺炎、患者指導で重視

2013年5月1日 時流

 4月25日に開催された日本泌尿器科学会第101回総会のパネルディスカッションは、「慢性前立腺炎/骨盤内疼痛症候群(CP/CPPS)」を扱った演題で、満席に近い状態まで会場が埋まった。大学病院、専門病院、診療所という立場から演者が説明する中で、開業医の立場から疾患を解説したのが香川県の松木泌尿器科医院、松木孝和氏。若年患者が多いという「驚き」を解説。生活指導の禁忌として、「自転車とバイク」である点を強調した。

20代、30代が意外と多い

 松木泌尿器科医院の松木氏は、「驚いたのは、20代から30代を中心に青年、壮年の患者が多いこと」と指摘した。自身が開業してから10年間で外来に受診した約1万人を分析。4人に1人が慢性前立腺炎という割合の多さを紹介した。「大学病院のような医療機関とは異なり、診療所を受診する泌尿器疾患の患者で若年、しかも慢性前立腺炎が重要である」と注意喚起した。

 松木氏によると症状は多彩。注目すべきと解説したのは、早漏が存在する点。もちろん、尿道、亀頭部、陰茎の違和感、陰嚢の痛み、その内部の痛みもある。排尿、蓄尿のときの痛み、血尿など尿に関わる問題も起きる。性機能については、勃起障害、射精時痛、血液の混じる精子の見られる患者もあるが、「一見すると前立腺炎と関わりないが、早漏を主訴とする場合もある」と説明した。松木氏は、治療法としては、抗菌薬やα遮断薬、セルニチンボーレンエキスのほか、NSAIDsや漢方薬の中から選択。精神的な問題もある場合があり、抗うつ薬を使うケースもあると説明した。

 生活指導上、松木氏がとりわけ強調したのは、自転車やバイクの禁忌という点だ。「自転車やバイクに乗る方にCP/CPPSの人が多い。特に自転車やバイクについては絶対にダメと言っている」と解説した。


慢性前立腺炎/慢性骨盤疼痛症候群 #2 m3.comから

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慢性前立腺炎「尿流を見よ」 【時流◆前立腺】
「実は尿道の異常がある」

2013年5月1日 時流

患者増加が注目される「前立腺疾患」。
慢性前立腺炎の背景疾患に一石を投じる指摘がある。

 「慢性前立腺炎/骨盤内疼痛症候群(CP/CPPS)」が難しいのは、原因が不明な点。「不明確な慢性前立腺炎」という見方に対し、日本泌尿器科学会第101回総会のパネルディスカッションで、福岡県の原三信病院の武井実根雄氏が一石を投じた。実は女性に多いと一般的に言われる間質性膀胱炎があるという指摘で、「排尿記録、尿流動態検査をできる限り実施すべきだ」と強調した。

 武井氏は、「慢性前立腺炎と炎症が付いていることに惑わされるな」と注意喚起。患者に尿流動態検査を実施した結果として、尿道の狭窄がある人が多いと指摘。背景に間質性膀胱炎があり、その結果、下部尿路症状が出ている患者が無視できないほど存在すると説明した。

20代、30代が意外と多い

 実際に、患者を検査したデータを提示。患者に排尿記録を付けてもらうのが有効と解説。患者に尿量を記録してもらったところ、1回当たりの尿量が少ない点に気が付く場合がある。武井氏は「患者自身も書いてみて初めて気が付く。数字に表すのは重要」と述べた。注意すべき患者は、経過が長い人、蓄尿症状がある人、症状が一時的に悪化する人、治療後も排尿量が少ない人。1回尿量が200mL未満、尿流動態検査で、最大膀胱容量が250mL未満といった目安で、間質性膀胱炎を拾い上げられるという。「間質性膀胱炎は女性に多いとされるが、男性でも見られるので注意してほしい」と強調した。

進化の後遺症

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Nezumi6500【哺乳類の祖先】
私たち人間の祖先、全ての哺乳類の祖先は、6500万年前頃に恐竜が絶滅した後に出現した、ネズミほどの大きさ(250㌘)の小さな生物でした。主に昆虫を餌にして生きていた生物です。
この小さな生き物から哺乳類が進化し、サルになり類人猿になり人になったとされています。

Sinka【地学教室から】
この図は、ネズミから人に至るまでの全体像を示したものです。
慢性前立腺炎や膀胱頚部硬化症とは無縁と思われる解説でしょう?しかし、ここに深い本質が隠れているのです。

Sinkasaruhito人は四足動物からサルへ、サルからヒトへと進化しました。
脊椎は、重力に対して平行だったのが、次第に重力に対して垂直になって行きました。

Sarukotuban骨格で観察すると、もっと明瞭になります。
脊椎と重力の関係をもっと深く考察したのが、次の模式図です。

Sinka四足動物、つまり4足歩行の動物の膀胱周辺の状態を示した図です。
排尿痔の腹圧は脊椎に平行に働きます(白い矢印)。
膀胱内の重力は脊椎に対して垂直に働きます(青い矢印)。腹圧と膀胱内の重力は合力(赤い矢印)なり、この合力は膀胱出口の方向(赤枠白矢印)に一致します。

Sinka2中途半端な2足歩行の動物、つまりサルの骨格を模した図です。
脊椎は斜めに走り、腹圧も脊椎に平行です(白い矢印)。
膀胱内の重力(青い矢印)と腹圧の合力(赤い矢印)が、膀胱出口の方向(赤枠白矢印)とわずかに一致しなくなります。

Sinka32足方向、つまり人の骨格を模した図です。
脊椎、腹圧、重力、合力の全てが同一方向ですが、膀胱出口の方向とまったく方向が異なります。
腹圧・重力・合力の一致した方向に膀胱三角部があります。すごい偶然だと思いませんか?恐らく必然なのでしょう。

以上から、膀胱出口と合力が一致する4足動物が一番排尿が楽で、次に不完全な2足歩行のサルの排尿で、最も最悪なのが完全2足方向排尿だということが分かります。
私たち人は、生まれながらにして排尿障害の素質を持っている構造になっています。ですから、排尿障害が原因の病気で苦しんでいる人は、前かがみになりながら排尿するのが理にかなっているのです。合力が膀胱三角部に集中しないように排尿するのが理想的だということが理解できます。

副睾丸炎の悩み (慢性前立腺炎の症状)

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【平成24年5月2日のメール】

お世話になります。先生のお人柄のあふれたお答えに感服して読ませていただいています。
そこでお尋ねですが、上記診断を3ヶ月前に受け、2つの病院でハルナール、セルニルトン、消炎剤等を処方されましたが鈍痛が収まりませんでした。
2つ目の社保病院では結石エックス線、尿勢、残尿エコー、前立腺がん腫瘍マーカーを調べましたが特に異常はなかったようです。痛みがあるにもかかわらず、原因がわからないので様子を見るしかない、何か変化があったらまた来るようにと薬の処方もありませんでした。
そこで3つ目の公立病院では地黄丸と消炎剤を処方された結果、大分痛みが和らぎ、地黄丸だけで消炎剤はもういいということになった矢先に安心して射精したところ精液に膿のようなものが一緒に勢いよく飛び出し驚いた次第です。しかも痛みが弱まってよかったと思っていたのにまた元の鈍痛が出てしまいました。主治医は地黄丸だけ服用して1ヵ月後にくればよいということでしたが早めに報告したほうがよいでしょうか。なお痛み(鈍痛で耐えられないほどではないが不快な痛み)は不規則に起こり3,4時間で収まることが多いですが、夜間だと眠りを妨げます。慢性の場合はやはり時間がかかるのでしょうか。なお夜間には3・u梔tcw尿意で目が覚めます。当方65歳で特に既往歴はありません。
長い文で申し訳ございませんがどうぞよろしくお願いいたします。
なお、診断料につきましては、ぜひご相談させてください。以上です。
★★★★★★★★

お答えします。

排尿機能障害による慢性前立腺炎症状でしょう。
http://hinyoukika.cocolog-nifty.com/cp/cat7049655/index.html
をご覧下さい。

お大事に。
★★★★★★★★

高橋 知宏 先生
お忙しいところ早速に御返信を賜り厚く御礼申し上げます。ありがとうございました。

先生の慢性前立腺炎との御見立てに従いたいと思います。
つきましては以下のような再度の質問で恐縮でございますがよろしくお願いいたします。

・水分は多く摂らない?
・射精は膿のようなものを排出するため極力したほうがよい?しない場合は、膿がさらに炎症を起こす?(射精を一ヶ月ほどがまんしていたらかなり回復したと思い実行したらまた痛みが戻ってしまい実行には恐怖心があります。)
・のこぎりやしは有効?
・八味地黄丸、セルニルトンは継続服用したほうがよい?
以上、よろしくお願い申し上げます。                     
★★★★★★★★

お答えします。

・水分は多く摂らない?
【回答】
水分(お茶・コーヒーを含む)を極力控えてください。
水分摂取は1日1リットル以下に制限して下さい。

・射精は膿のようなものを排出するため極力したほうがよい?しない場合は、膿がさらに炎症を起こす?(射精を一ヶ月ほどがまんしていたらかなり回復したと思い実行したらまた痛みが戻ってしまい実行には恐怖心があります。)
【回答】
射精と病気の進行は無関係です。
ですが、辛ければ止めて下さい。

・のこぎりやしは有効?
【回答】
排尿機能障害に多少は効果的でしょう。

・八味地黄丸、セルニルトンは継続服用したほうがよい?
【回答】
服用してもしなくてもどちらでも結構です。
病気には無効です。

お大事に。
★★★★★★★★
【平成25年6月16日のメール】

高橋 知宏 先生
突然のメールをお許しください。

実はちょうど1年ほど前、下記のような問い合わせをさせていただきご親切なアドヴァイスをいただきました。

先生の「排尿障害」こそ睾丸の痛みの元凶というお考えがまさにそのとおりであったことをお伝えしたくメールをさせていただきました。

あれから副睾丸炎、脱腸の疑いと6件の大小病医院を訪ね、八味地黄丸、地黄丸、その他の薬を処方されましたが、効果がありませんでした。
そして7件目の開業医の医師に出会い、1週間分の抗生物質とユリーフ錠4mgと精神安定剤を処方され服用したところ、効果はどんぴしゃでした。服用して2,3日でかつて経験したことのないスムーズな排尿を経験し、痛みも消えました。それが昨年の10月ごろでいまも完治とはいきませんが、痛みはほぼ消えました。薬はユリーフの副作用に射精時の逆流があったので今はフリバス75mgを服用してますが、これだとまた排尿がすっきりしないので時々ユリーフに戻すとすっきりします。
以上、お礼を申し上げるとともに、少しでも私の経験がお役に立てばと思いメールしました。
また、何かの折にはよろしくご診断のほどをお願い申し上げます。
以上です

シアリスが排尿障害治療薬になる!

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バイアグラと同じED治療薬であるシアリスが2011年アメリカで前立腺肥大症の排尿障害の治療薬として承認されました。
勃起不全の治療薬が、排尿機能障害の治療薬に変身したのです。不思議でしょう?それには、それなりの理由があるのです。
平滑筋は一酸化窒素NOで弛緩します。シアリスはバイアグラ同様に一酸化窒素分解酵素の働きを抑制する作用を持っています。つまり、一酸化窒素NOの働きを増強するのです。
一酸化窒素NOの働きが増強すると言うことは、平滑筋が十分に弛緩する=陰茎動脈が拡張し勃起を促すという仕組みです。
前立腺肥大症などで排尿障害がある場合は、膀胱・前立腺・尿道の平滑筋が緊張していますから、排尿障害になるのです。それらの平滑筋を弛緩させれば、排尿障害は改善すると言う理論です。
アメリカで承認が得られた訳ですから、かなりの効果があったのでしょう。恐らく、ハルナールと比較しての臨床治験だったと考えられます。ですから、ハルナールよりも効果が高いと考えられます。

以前にも、一酸化窒素NOと平滑筋の関係を解説したことがありました。

ボトックス注射部位の疑問

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Botoxinj専門誌Urology TodayのVol.20,No.3に実践マニュアル「膀胱のボツリヌス毒素療法」というレポートが掲載されていました。東大チームの業績です。

そこの記事に、間質性膀胱炎の患者さんに対するボツリヌス毒素(BOTOX)の注射部位が提示されていました。それが右の図4です。
この図を見ると、膀胱三角部を中心にBOTOXを注射しています。

しかし、ここで疑問を感じます。今までの大学病院で率先して実施されていた、間質性膀胱炎に対する標準的な治療、すなわち膀胱水圧拡張術は、膀胱全体を拡張して頻尿や尿意切迫感や痛みを解除しようとしていた治療法です。膀胱水圧拡張術で広がるのは膀胱三角部を除く膀胱体部です。膀胱三角部は膀胱体部に比較して筋肉強固・強靭なので、拡張してもビクともしません。今まで膀胱三角部に見向きもしないで、せっせと膀胱水圧拡張術を行っていたのに不思議です。
また、間質性膀胱炎の特徴とされているハンナー潰瘍の電気メス治療も膀胱体部に生じる潰瘍に施している処置です。突然と膀胱三角部にBOTOX治療を始めた根拠が?です。
もしも、膀胱三角部が間質性膀胱炎の症状を作る部位だと考えているのであれば、もっと前から電気メスを利用して治療していても良かったのにと考えるのは私だけでしょうか?

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